北海道でのペットライフは、広大な自然と触れ合える素晴らしい環境ですが、本州とは異なる「寄生虫・感染症」のリスクが存在します。
特に移住された方や、初めて犬猫を迎える方が戸惑いやすいのが、予防期間と北海道特有の病気です。
北海道では「エキノコックス対策」が必須であり、フィラリアやノミ・ダニ予防は「雪解けから雪が積もるまで(概ね5月〜12月)」が基本期間となります。
この記事では、どうみんライフ編集部が地元の獣医師の見解や実体験に基づき、北海道で必ず押さえておくべき犬猫の守り方を解説します。
目次
北海道と本州の「予防」の決定的な違い
北海道のペット飼育において、本州と大きく異なる点は「野生動物との距離」と「冬の期間」です。
北海道特有のリスク
・キタキツネが媒介するエキノコックス症のリスクが高い
・都市部の公園(札幌市内など)にも野生動物が出没する
・冬は氷点下が続くため、蚊の活動期間が短い
本州では通年予防が推奨されるケースも増えていますが、北海道では冬の休薬期間が明確にある場合が多いです。ただし、近年は温暖化の影響で活動期間が延びているため、自己判断せず動物病院の指示に従う必要があります。
注意すべき3大寄生虫【エキノコックス・マダニ・フィラリア】
北海道で犬猫を守るために、特に警戒すべき3つの寄生虫について解説します。
1. エキノコックス(多包条虫)
北海道でもっとも警戒すべき、人獣共通感染症です。
要点
キタキツネが主な宿主ですが、野ネズミを捕食した犬にも感染します。犬が感染しても無症状のことが多いですが、人の口に入ると重篤な肝障害を引き起こす危険性があります。
対策と注意点
・散歩中に野ネズミの死骸を食べさせない
・キタキツネの糞に近づけない
・定期的な駆虫薬の投与(プラジクアンテル配合薬など)
特に犬を飼っている方は、散歩コースにキタキツネが出没しないか確認してください。猫も完全室内飼育であればリスクは低いですが、外出する猫は要注意です。
2. マダニ・ノミ
草むらや山林だけでなく、河川敷や住宅街の公園にも潜んでいます。
要点
マダニは貧血や皮膚炎だけでなく、ライム病などの感染症を媒介します。北海道では「ヤマトマダニ」や「フタトゲチマダニ」などが多く見られます。また、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)のリスクもゼロではありません。
対策と注意点
・4月〜11月頃まで毎月予防薬を投与する
・草むらに入った後はブラッシングとボディチェックを行う
・冬でも気温が高い日や、家の中ではノミが繁殖する可能性がある
「冬だからいない」は間違いです。笹藪などでは雪解け直後からマダニが活動を開始します。キャンプや登山に犬を連れて行く場合は、防虫スプレーの併用も検討してください。
3. フィラリア(犬糸状虫)
蚊が媒介する寄生虫で、心臓に寄生し命に関わります。
要点
北海道は本州に比べて蚊の発生時期が遅く、終息も早いです。しかし、近年は5月から蚊を見かけることも増えました。
対策と注意点
・投薬期間:一般的に6月〜11月(または12月)
・血液検査:投薬開始前に必ず検査を受ける
北海道の動物病院では、5月のゴールデンウィーク明けから検査と処方がピークを迎えます。混雑を避けるため、4月中に相談に行くとスムーズです。
北海道の予防接種・投薬カレンダー
北海道における一般的な予防スケジュールの目安です。地域(道南・道北・道東)やその年の気温によって前後するため、必ずかかりつけ医に確認してください。
| 月 | 推奨される対策 | 備考 |
| 4月 | マダニ・ノミ予防開始 | 雪解けと共にダニが活動開始 |
| 5月 | フィラリア検査・狂犬病注射 | 病院が最も混む時期 |
| 6月 | フィラリア投薬開始 | 蚊の発生から1ヶ月後が目安 |
| 7月〜10月 | フィラリア・ノミ・ダニ継続 | アウトドアのハイシーズンは厳重に |
| 11月 | マダニ予防終了目安 | 初雪の時期に合わせる |
| 12月 | フィラリア投薬終了 | 蚊がいなくなってから1ヶ月後まで飲む |
| 1月〜3月 | (休薬期間) | 室内飼育でノミリスクがある場合は継続 |
不足しがちな視点
多くの飼い主さんが「雪が降ったから終わり」と考えがちですが、フィラリア薬は「蚊がいなくなってから1ヶ月後」まで飲むのが正解です。ここを自己判断でやめてしまうと、感染リスクが残ります。最後まで飲みきりましょう。
混合ワクチンの考え方と感染症リスク
寄生虫以外に、ウイルスや細菌による感染症対策も重要です。
混合ワクチン(コアワクチン+ノンコア)
北海道でも、犬は5種〜8種、猫は3種〜5種の混合ワクチンが一般的です。
・パルボウイルス、ジステンパー:致死率が高く、全国どこでも必須
・レプトスピラ症:ネズミの尿などから感染する。アウトドア派の犬は、レプトスピラを含むワクチンの接種を推奨
北海道の自然で遊ばせる機会が多いワンちゃんは、レプトスピラが含まれているか獣医師に相談してください。
北海道の自然を楽しむために
北海道での犬猫との暮らしは、四季折々の美しさを楽しめる反面、自然界のリスクと隣り合わせです。
・北海道独自の脅威「エキノコックス」対策を忘れない
・「冬は虫がいない」と油断せず、雪解けから晩秋までは徹底予防
・フィラリア薬は蚊がいなくなってから1ヶ月後まで飲み切る
・アウトドアを楽しむならレプトスピラ予防も検討する
「これくらい大丈夫だろう」という自己判断が、愛犬・愛猫の命を危険に晒すだけでなく、飼い主さん自身の健康被害につながることもあります。
かかりつけの動物病院と相談しながら、適切な予防スケジュールを組んで、北海道ライフを満喫してください。
執筆:どうみんライフ