北海道、特に札幌などの都市部でペットと暮らせる賃貸物件を探すのは、想像以上にハードルが高いのが現実です。
まずは結論からお伝えします。北海道で理想のペット可物件に出会うためには、エリアの特性と特有の設備事情を理解することが最短ルートです。
目次
「ペット可」と「ペット相談」の決定的な違い
物件検索サイトを見ると、条件欄に2つの表記があることに気づくはずです。この違いを理解していないと、無駄な問い合わせが増えてしまいます。
・ペット可(共生型)
最初からペットと暮らすことを前提に設計、または許可されている物件です。足洗い場や傷に強いクロスなどが採用されていることもあります。数は非常に少ないです。
・ペット相談(緩和型)
元々はペット不可だった物件ですが、空室対策などで「交渉次第では飼ってもよい」としている物件です。大家さんの許可が必要です。「小型犬1匹のみ」という厳しい条件が付くことが大半です。
北海道のペット可物件の普及率
市場に出回っている賃貸物件全体の中で、ペット飼育が可能な物件は全体の約10%から15%程度と言われています。
さらに「猫」となると、その数は半分以下に激減します。犬に比べて壁や床へのダメージリスクが高いと考えられているためです。
北海道ならではの費用相場と契約ルール
北海道の賃貸契約には、本州とは少し異なる商習慣や、寒冷地特有の費用項目が存在します。
家賃と初期費用の増額相場
ペット可物件に入居する場合、通常よりも費用が高くなるケースがほとんどです。
【家賃の増額】
通常の家賃にプラスして、3,000円から5,000円程度高く設定されることがあります。
【ペット礼金(契約時)】
敷金とは別に「ペット礼金」として家賃の1ヶ月分を求められるケースが一般的です。これは退去時に返還されません(償却)。
【退去時の清掃費】
退去時に「ペット消臭消毒料」として、20,000円から30,000円(税別)が請求される特約を結ぶことが一般的です。これは通常の原状回復費用とは別にかかります。
寒冷地特有の光熱費シミュレーション
北海道の冬は、ペットの命を守るために24時間暖房が必須となる日もあります。
・夏場
エアコンのない物件もまだ多いため、ペットの熱中症対策が必要です。エアコン付き物件は家賃が高めです。
・冬場
灯油ストーブやガス暖房をつけっぱなしにするため、暖房費だけで月額15,000円から30,000円かかることも珍しくありません。プロパンガス物件の場合、さらに高額になるリスクがあります。「都市ガス」または「灯油暖房」の物件を選ぶのが鉄則です。
札幌市のペット可物件率は高い?低い?市場の現実
札幌市の賃貸物件において「ペット可(相談可含む)」とされている物件の割合は、全体のおよそ25パーセントから30パーセント程度です。これは東京23区の平均(約15パーセントから20パーセント)と比較すると、やや高い水準にあります。北海道は土地が広く、比較的ゆとりのある間取りが多いため、ペットとの共生に対して寛容なオーナー様が多い傾向にあるからです。
北海道へペットと引っ越し
本州とは異なる気候や環境の中で、ペットが安全に移動し、快適に暮らすためには事前の準備が欠かせません。「飛行機とフェリー、どっちがいいの?」「冬の散歩は大丈夫?」といった疑問に対し、北海道での暮らしを解説します。
北海道の冬とペット・物件選びの注意点
ここが他のエリアと最も異なる点です。北海道の冬を甘く見ると、ペットに危険が及ぶ可能性があります。
FF式ストーブとペットの安全
北海道の賃貸で主流の「FF式ストーブ」は、非常に強力な暖房器具ですが、本体や温風の吹き出し口が高温になります。
・リスク
ペットが近づきすぎて火傷をする事故が多発しています。
・対策
ストーブガード(柵)を設置できるスペースがあるか、内見時に必ず確認してください。
二重窓(二重サッシ)と結露・防音
北海道の住宅は断熱のために窓が二重になっています。
・メリット
防音性が高いため、多少の鳴き声であれば近隣トラブルになりにくい利点があります。
・デメリット
気密性が高いため、冬場は結露が発生しやすくなります。結露を放置するとカビが発生し、ペットの呼吸器系に悪影響を及ぼす可能性があります。24時間換気システムの有無を確認しましょう。
雪道の散歩と足洗い場
冬の散歩道には、凍結防止剤(融雪剤)が撒かれています。これがペットの肉球に炎症を起こすことがあります。
散歩から帰った後、すぐにお湯で足を洗える環境が重要です。玄関に十分な広さがあるか、浴室までの動線がスムーズかを確認してください。
北海道の地域別の特徴
札幌市
札幌市内でペットと一緒に暮らせる部屋を探す際、なんとなく「職場に近いから」という理由だけでエリアを決めていませんか?それは危険です。札幌でのペット可物件探しで成功するには、「家賃相場が比較的安く、大きな公園がある区」を選び、「都市ガスまたは灯油暖房」の物件をピンポイントで狙うのが最適解です。
函館市
函館でペット可の賃貸物件を探すのは、札幌や東京に比べてハードルが少し高めです。物件数は全体の約15パーセントと少なめです。猫飼育可の物件は、犬可物件のさらに半分以下になります。冬の散歩事情(融雪剤や寒さ)を考慮したエリア選びが必須です。
旭川市
旭川でのペット可物件探しは、他の都市とは比較にならないほど「冬の厳しさ」への対策が最優先事項です。物件数は全体の10パーセントから15パーセント程度と非常に限られています。デザインや広さよりも「暖房設備」と「断熱性能」で選ばないと、冬の光熱費が家賃並みになります。マイナス20度を下回る日があるため、散歩事情が他の北海道エリアとも異なります。
入居審査を通過するためのポイント
人気物件は競争率が高く、審査も厳格です。スムーズに契約するための準備をお伝えします。
用意しておくべき書類と情報
不動産会社に行く前に、以下の情報を整理しておきましょう。これらが即答できると、大家さんへの交渉がスムーズになります。
・ペットの種類と品種
・年齢と体重
・避妊、去勢手術の有無(証明書の提出を求められることあり)
・狂犬病予防注射の証明書(犬の場合)
・混合ワクチンの接種証明書
・ペットの写真(かわいらしい写真は心象を良くします)
多頭飼い・大型犬の場合
正直にお伝えすると、賃貸マンションで大型犬や3匹以上の多頭飼育は「ほぼ不可能」に近いです。
もしこの条件で探す場合は、賃貸マンションではなく「貸家(戸建て賃貸)」にターゲットを絞ってください。選択肢は狭まりますが、許可が出る確率は上がります。
よくある疑問
Q. 内緒で飼ってもバレませんか?
A. 絶対にやめましょう。
北海道の物件は管理会社や大家さんが定期的に除雪状況や設備の点検で見回ることがあります。鳴き声や臭い、窓際の姿ですぐに発覚します。発覚した場合、即時退去に加えて高額な違約金を請求される契約になっていることがほとんどです。
Q. 札幌市内でペット可物件が多いエリアは?
A. 豊平区や白石区など、中心部から少し離れたエリアに比較的多く点在しています。中央区などの都心部は家賃が高騰しがちです。大きな公園(月寒公園やモエレ沼公園など)の近くは、ペットオーナー向けの物件が集まりやすい傾向にあります。
Q. 猫の飼育はなぜ難しいのですか?
A. 爪とぎによる壁の損傷と、尿の臭いが染み付くリスクを大家さんが嫌うためです。「敷金を1ヶ月積み増し」などの条件提示で許可が出る場合もあるので、諦めずに不動産会社に相談してみてください。
北海道でのペットライフを成功させるために
北海道でのペット可物件探しは、単に「飼えるかどうか」だけでなく、「冬の寒さをどう乗り越えるか」まで考える必要があります。
・物件数は全体の1割程度と心得る
・初期費用と冬の光熱費は高めに見積もる
・FF式ストーブの火傷対策ができる間取りを選ぶ
・融雪剤対策として玄関周りの動線を確認する
良い物件はすぐに埋まってしまいます。不動産会社には「ペット可物件が出たらすぐに連絡が欲しい」と伝え、待ちの姿勢ではなく積極的に情報を取りに行くことが成功の鍵です。
愛するペットと、北海道の豊かな自然の中で快適に暮らせるお部屋が見つかることを応援しています。
執筆:どうみんライフ