「近所の野良猫が庭に糞をして困っている」
「お腹を空かせた猫がかわいそうで、つい餌をあげてしまった」
札幌市では、こうした地域課題を解決するために「飼い主のいない猫への対応ガイドライン」を策定しています。このガイドラインは、猫が好きな人も苦手な人も、地域の方々が対応を行う際の参考となるよう作成されたものです。
札幌市の方針は「これ以上野良猫を増やさず、一代限りの命として全うさせ、徐々に減らしていくこと」です。単に餌をあげるだけの行為は、不幸な猫を増やす原因になりかねません。
本記事では、ガイドラインに基づき、市民がとるべき行動、利用できる市の支援、そして具体的な活動方法をわかりやすく解説します。
目次
野良猫?飼い猫?まずは「猫の定義」を確認
札幌市では、屋外にいる猫を以下の2つに分類して判断します。どちらに当てはまるかは、個別の状況確認が必要です。
飼い猫(飼い主がいる)
- 自由に外と家を行き来している猫
- 逃げ出して迷子になった猫
- 餌やりをしている人が「自分の猫だ(所有権)」と主張する場合
飼い主のいない猫(いわゆる野良猫)
- 特定の飼い主がおらず、屋外で自活している猫
- 餌やりをしている人が「自分の猫ではない(所有権を主張しない)」場合
ポイント
飼い主がいないからといって、無責任に関わって良いわけではありません。地域住民としてどう向き合うかが問われます。
飼い主のいない猫を減らすための3つの活動
札幌市では、野良猫問題を解決するために、以下の3つの活動を推奨しています。
1. 保護活動(飼い猫にする)
猫を保護し、自宅で飼うか、新しい飼い主(里親)を探す活動です。最も確実な解決策ですが、人慣れしていない成猫などはハードルが高い場合があります。
2. 地域猫活動(地域で管理する)
「地域住民の合意」のもと、特定の猫に対して不妊去勢手術を行い、ルールを決めて餌やりやトイレの管理を行う活動です。
- メリット:糞尿被害の軽減、繁殖の防止
- 必須条件:近隣の理解、グループでの活動
3. TNR活動(一代限りの命を見守る)
保護して飼うことが難しい場合に行う、繁殖制限のための活動です。
- Trap(捕獲):捕獲器などで安全に捕まえる
- Neuter(不妊去勢手術):動物病院で手術をする
- Return(元の場所に戻す):住み慣れた縄張りに戻す
「かわいそうだから餌をあげる」が招くリスク
ガイドラインでは、無責任な餌やりに対して厳しい注意喚起を行っています。
餌だけを与えるリスク
- 栄養状態が良くなり、年に数回出産して爆発的に増える
- 糞尿や鳴き声で、近隣トラブルの原因になる
- 結果として、猫が地域で嫌われ者になってしまう
餌やりをする人の責任(責務)
継続的に餌を与えるなら、飼い主に準じた責任が発生します。以下の2点を必ず守ってください。
1. 不妊去勢手術の実施
これ以上増やさないための処置です。
・費用の目安:オス1〜3万円、メス2〜4万円(動物病院による)
・手術済みの証として「耳カット(さくらねこ)」を施します(オスは右耳、メスは左耳をV字カット)。
2. ルールに基づく管理
・置き餌は厳禁。食べ終わったらすぐ片付ける
・トイレを設置し、周辺の清掃を行う
・近隣住民の理解を得る
札幌市動物愛護管理センターの支援内容
「自分たちだけで活動するのは不安」という方のために、センターでは助言や支援を行っています。
※原則として自治会(町内会)などを通じた相談・申請が必要です。
受けられる主な支援
- 捕獲器の貸出:猫を捕まえるための専用カゴの貸出
- 活動アドバイス:地域への回覧板の文面作成、ルールの作り方などの助言
- 周知啓発:地域住民への説明協力
- 手術の支援:民間の助成金情報の紹介や、要件を満たす場合のセンターでの手術実施
※センターは「野良猫の駆除・引き取り」をする場所ではありません。あくまで「解決に向けた住民主体の活動」をサポートする機関です。
活動を始めるための具体的なステップ
もし、あなたが「地域の野良猫問題をなんとかしたい」と思ったら、以下の手順で進めましょう。
- 手順1:猫の把握何匹いるか、性別は、飼い猫ではないかを確認します。写真を撮り、台帳を作るとスムーズです。
- 手順2:仲間づくり1人での活動は限界があります。ご近所さんとグループを作りましょう。
- 手順3:地域の合意町内会などに相談し、活動について理解を得ます。「餌やりを認める」のではなく「管理して減らす活動」であることを伝えます。
- 手順4:手術と管理の実施捕獲して病院へ連れて行き、手術を行います。その後は、決まった時間・場所での餌やりとトイレ清掃を継続します。
よくある質問(FAQ)
Q. 野良猫を捕まえて、遠くの山や公園に放してもいいですか?
A. 絶対にダメです。「動物の遺棄(いき)」という犯罪になり、法律で罰せられます。また、猫は縄張り意識が強いため、知らない土地では生きていけません。
Q. 野良猫の不妊去勢手術代は誰が出すのですか?
A. 原則として、餌やりをしている人や、活動するグループ(地域)での負担となります。札幌市からの直接的な全額補助金はありませんが、民間の助成制度などが使える場合があるので、動物病院やセンターへ相談してください。
Q. 耳がV字にカットされている猫を見かけました。怪我ですか?
A. それは「不妊去勢手術済み」のしるしです。これ以上子供を産まない猫ですので、地域で一代限りの命として優しく見守ってください。右耳カットはオス、左耳カットはメスです。
人と猫が共生するためにできること
札幌市のガイドラインのポイントを整理します。
- 基本方針:野良猫は増やさず、一代限りの命として徐々に減らす
- 餌やり:不妊去勢手術とトイレ管理がセット(ただあげるだけはNG)
- 活動方法:地域猫活動やTNR(捕獲・手術・リリース)が有効
- 相談先:札幌市動物愛護管理センター
「猫が好きな人」も「猫が苦手な人」も、目指すゴールは「飼い主のいない猫がいなくなること(すべての猫が室内で暮らせること)」で一致しています。地域だけで解決が難しい場合は、まずは専門の窓口へ相談することから始めてみませんか。
出所:出所:札幌市「飼い主のいない猫への対応ガイドライン」
執筆:どうみんライフ