北海道の冬は長く、路面凍結や積雪、低温・乾燥などが犬や猫の怪我や体調悪化に直結します。
今回は、ペットと冬を快適に過ごすため対策を解説します。
目次
冬対策は適正飼養
環境省の飼養基準や北海道動物愛護管理条例では、適切な温度・湿度、衛生、給餌給水、運動などを通年で求めています。冬は体温維持と安全確保の重要度が上がる季節。基本を守ることが求められます。
寒冷・積雪環境では屋外リスクが増えるため、冬こそ徹底しましょう。
犬の冬散歩の注意点
除雪だけでなく、道路管理では凍結防止剤(塩化ナトリウム/塩化カルシウム等)やすべり止め材が広く使われます。交差点・坂・カーブなどに重点散布されるため、気をつけて散歩させ、夜間は反射材付きのウェアや首輪で被視認性を上げましょう。
散歩後はぬるま湯で足を洗い、しっかり乾かし保湿をルーティンにしましょう。被毛に雪玉が付きやすい犬は足回りを短く整えると負担が減ります。
低体温症・凍傷のサインを知る
凍傷は耳先・尾・足先など皮膚が薄い部位に起こりやすく、風・濡れが重なるとリスクが増します。低体温症では、反応低下、ふらつきなどが現れます。
異常があれば早めにかかりつけの動物病院で受診をしてください。
乾燥と飲水に要注意
室内で飼育する猫も注意が必要です。
暖房で乾燥しやすい冬は、飲水量の低下や下部尿路疾患といったリスクが高まります。複数の給水ポイント、ぬるめの水、ウェットフード併用で摂水を上げ、静かで冷気の流れを避けた寝床を用意しましょう。
迷子や相談先を今のうちに
札幌市の動物愛護管理センター(あいまるさっぽろ)では、適正飼育の普及や相談を行っています。鑑札・マイクロチップ・迷子札など識別情報の管理は冬も通年の基本です。万一のときの連絡先も控えておきましょう。
北海道の冬の気温と積雪量
北海道(札幌市)の気温の推移(1月)
- 1990年 -4.9度
- 2000年 -3.1度
- 2010年 -2.0度
- 2020年 -2.3度
- 2025年 -1.2度
北海道(札幌市)の降雪の深さの月合計値(1月)
- 1990年 196cm
- 2000年 202cm
- 2010年 154cm
- 2020年 85cm
- 2025年 80cm
年によって差がありますが、長期でみると、気温が上がり、雪の量が減っていることが分かります。
但し、月がずれてドカ雪が降ったりすることもあるので、注意が必要です。
参考:気象庁ホームページ
まとめ
北海道の冬は、美しい雪景色と引き換えに、ペットにとっては厳しい環境でもあります。
路面凍結や薬剤による足裏の刺激、低体温症や凍傷、暖房による乾燥、不凍液などの化学物質——これらはすべて命や健康に直結するリスクです。
だからこそ、冬対策は「特別な配慮」ではなく、適正飼養の一部として日常に組み込みましょう。
- 犬は短め・複数回の散歩と足洗い・保湿を徹底し、反射材や防寒具で安全性を高める
- 猫は乾燥と飲水不足を防ぎ、静かで暖かい寝床を確保する
- 凍傷や低体温症のサイン、不凍液などの中毒リスクを知り、異変があれば早急に受診する
- 鑑札・マイクロチップなどの識別情報は常に最新にし、万一のときの連絡先を控える
厳しい気候条件を理解し、日々の生活に工夫を加えることで、雪国でもペットは快適で安全に過ごせます。飼い主が知識と備えを持つことが、ペットの命を守る最大の力になります。
参考文献
環境省『家庭動物等の飼養及び保管に関する基準』
北海道庁『北海道動物愛護管理条例』/施行規則
札幌市『動物愛護管理センター(あいまるさっぽろ)』
国土交通省 北海道開発局『凍結路面対策』
執筆:どうみんライフ