動物愛護管理法・北海道動物愛護管理条例をわかりやすく解説

北海道で犬や猫をはじめとする動物と暮らすうえで、全国共通の「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」と、地域事情を踏まえた「北海道動物の愛護及び管理に関する条例」(以下、北海道条例)・同施行規則の3層を押さえることが重要です。本記事では、それぞれの要点を解説します。

動物愛護管理法(国)の基本理念

動物愛護管理法は、「動物が命あるものであることにかんがみ」乱暴に扱ったり苦しめたりしないこと、共生に配慮して習性に応じ適正に取り扱うことを基本理念として定めています(第2条1項)。この条文は各自治体の条例の大前提です。

北海道動物愛護管理条例の目的と構造

目的(第1条)

道民の動物愛護精神の高揚、動物の健康と安全の保持、人への迷惑・危害の防止、財産侵害の防止、そして移入動物(外来種)の野生化防止が目的です。

構成(主な章)

  • 第1章 総則:用語・道/道民/飼い主の責務。
  • 第2章 動物の適正な取扱い:適正飼養、特定動物、特定移入動物、措置命令。
  • 第3章 引取り・収容等。
  • 第4章 雑則/第5章 罰則。

飼い主・道民の基本的な責務

道民:動物が命ある存在であることを認識し、道の施策に協力。

飼い主:習性等を理解して適正に飼養し、健康と安全を保ち、人に危害・迷惑を及ぼさないよう管理。

適正飼養で押さえるポイント(第6条)

  • 種・月齢等に応じて適切なえさ・水、清潔な飼養環境の維持。
  • ふん・毛・羽毛等は適切に処理し、周辺や道路・公園を汚さない。
  • 災害時は動物を伴って避難するなど、自己の責任で措置。
  • 所有者明示(マイクロチップ・首輪名札等)に努める。
  • みだりな繁殖の防止(不妊措置)に努める。

犬・猫に関する規定

犬(第7条):逸走防止、危害のおそれのない場所・方法で飼養。適正な運動、しつけ。
猫(第8条):室内飼養に努める(感染症・事故防止の観点)。放し飼いの場合は繁殖防止(不妊措置)に努める。

特定動物(危険動物)に関する規定

クマ・トラ・ワニなど人に危害を加えるおそれのある動物(特定動物)は国法の枠組みで厳格に管理。北海道条例では、事故時24時間以内の知事への届出や非常用器材の整備など、飼い主の遵守事項・緊急措置が定められています(第10〜12条)。

特定移入動物(外来種)の取り扱い

北海道の生態系を乱すおそれのある**「特定移入動物」**は、施行規則の別表で指定されています。
現在の指定種:フェレット/プレーリードッグ。

主な手続き・義務

  • 飼養開始・休止(廃止)の届出:開始(または休止/廃止)から30日以内に知事へ届出(条例第14条、様式は施行規則)。
  • 逸走防止・不妊措置努力義務(第15条)。
  • 販売業者の義務:
    ・購入者の終生飼養意思の確認、習性・飼養・疾病予防・不妊の必要性等の情報提供(第13条1項)。
    ・取扱実績の台帳記録(販売日、性別・年齢、仕入年月日・仕入先、不妊の有無、購入者情報、意思確認・情報提供の有無)を3年間保管(施行規則第4条・第2号様式)。

引取り・収容の考え方(第18条ほか)

安易な引取りは行わず、まずは終生飼養を促すのが基本。やむを得ず飼えなくなった場合は新しい飼い主を探す努力を求め、どうしても見つからないときに道立保健所での引取りを扱います。負傷させた動物の速やかな救護なども求められます。(北海道庁)

措置命令と罰則(近隣トラブル対策を含む)


措置命令の対象(第16条・施行規則第6条)

「周辺の生活環境が損なわれている事態」として、以下のようなケースが具体化されています。

  • 頻繁な鳴き声等の騒音
  • 飼料残さ・ふん尿など汚物処理の不適切による臭気
  • 飼養施設の敷地外への毛・羽毛の飛散
  • ねずみ・はえ・のみ等の多数発生 など
    北海道はこうした状況に指導・助言/勧告・命令を行えます。

罰則(第24〜26条)

  • 改善命令違反(第16条1項):30万円以下の罰金。
  • 届出義務違反(第12条事故届・第14条飼養開始/休止届 等):20万円以下の罰金。
  • 台帳記録義務違反(第13条2項)等:5万円以下の罰金。

実務に役立つミニチェックリスト

  • 毎日の給餌・給水、清掃、運動・遊びの確保はできているか。
  • 所有者明示(マイクロチップや名札)は済んでいるか。
  • 犬:逸走防止・しつけ、適正な運動/猫:室内飼養に努める。
  • 不妊措置(望まない繁殖の防止)を検討・実施したか。
  • 特定移入動物を飼う/やめるときは30日以内に届出、販売事業者は台帳3年保管。
  • 鳴き声・臭気・毛の飛散など近隣への配慮。問題があれば早めに是正。(北海道庁)

まとめ

北海道で動物と暮らすには、国の「動物愛護管理法」を土台に、北海道条例・施行規則で具体化されたルールを守ることが重要です。飼い主は、終生飼養・適正な給餌と衛生管理、所有者明示(マイクロチップや名札)、みだりな繁殖防止、犬の逸走・危害防止と適切な運動、猫の室内飼養、災害時の同行避難に努めます。特定動物は厳格な管理が求められ、事故時の届出等が義務化。特定移入動物(フェレット/プレーリードッグ)は30日以内の届出と販売台帳の3年保管など手続きが必要です。鳴き声・臭気・毛の飛散等で周辺生活環境を損なう場合は指導・命令の対象となり、命令違反や届出義務違反には罰金が科され得ます。最新の様式・手続きは公式ページと条例・規則本文で必ず確認し、不明点は道立保健所に相談しましょう。

 

執筆:どうみんライフ