札幌市のペット災害対策を解説

札幌市では、災害時にペットと飼い主が安全に過ごせるよう、情報提供や支援体制づくりを進めています。飼い主向けの「犬と猫の防災手帳」の配布や、災害時の動物救護に協力するボランティア制度が整備されています。

犬と猫の防災手帳

札幌市は、犬や猫の飼い主が日頃から備えておくべき内容や、被災時の行動・支援体制などをまとめた「犬と猫の防災手帳」を作成しています。
ペットは家族の一員であり、災害時に守ることができるのは飼い主自身です。この手帳を活用し、日頃からの備えに役立ててください。

主な内容

  • 飼い主の役割
  • 災害に向けた日頃の備え
  • 被災時の行動
  • ペット支援体制
  • ペットの情報(かかりつけ動物病院、病歴、ワクチン・予防接種記録など)

配布場所

  • 札幌市内各区役所、保健センター
  • 札幌市保健所
  • 札幌市動物愛護管理センター

飼い主の役割

災害が起こったときに最初に行うことは、飼い主自身や家族の安全確保ですが、ペットの安全確保についても、いざというときに慌てないように、普段から備えておく必要があります。
ペットと一緒に避難(同行避難)できるよう、また、避難所等において、飼い主もペットもルールを遵守し、他の避難者に迷惑をかけないで生活できるよう、十分な準備をすることが重要です。
これは決して特別なことではなく、普段からペットの基本的なしつけや健康管理をし、ペットを様々な環境に慣らしておくことが、災害時の備えにつながります。
いざというとき、大切なペットが周りに迷惑をかけないよう、また、周りからの協力を得られるよう、まずはこの手帳を利用して、ペットの災害対策を始めてみましょう。

災害時に必要なものとは必要なものチェックリスト

■ 飼い主の防災グッズ

  • ペットと飼い主の情報を記録したもの
  • 5日分以上のフード、水、食器
  • 口療法食、薬(必要な場合)
  • 予備の首輪、リード(短め、伸びないもの)
  • トイレ、ブラッシング用品
  • 新聞紙、タオル、毛布、おもちゃなど

必要なことチェックリスト1

住まいの防災

  • 耐震強度の確認
  • 家具やケージの配置確認、転倒防止

家族の話し合いやご近所とのつながり

  • 連絡方法や集合場所の確認
  • 留守中の対処方法の確認
  • 緊急時のペットの預け先の確保

情報収集と避難訓練

  • 避難場所と避難経路の確認
  • 避難訓練への参加

※備蓄物資について:札幌市の備蓄物資には、ペットフード等は含まれていません。
ペットが避難所で必要な物資は、飼い主が用意しておく必要があります。

必要なことチェックリスト2

所有者明示

  • 鑑札、注射済票の装着(犬のみ)
  • 外から見える迷子札
  • マイクロチップ

健康管理

  • 健康診断と日頃からの観察
  • 不妊手術
  • ワクチン
  • ノミ、ダニ等の駆除
  • トリミング等

しつけ

  • 他の人や動物、声や音に慣らしておく(初めての場所や来客を経験させておく)
  • ケージ、リードや首輪に慣らしておく
  • 体のどこでも触れるようにしておく
  • マテ(制止)とオイデ(呼び戻し)をしつけておく
  • トイレやペットシートに排泄できるようにしておく
  • むやみに吠えないようにしておく(飼い主が、吠える原因と対策を知っておく)

被災したときは

避難の判断

大きな災害が発生した場合、避難を行うかどうかをまず判断する必要があります。危険があると判断される場合には指定された一時避難場所に、避難勧告が出ている場合には開設された避難所に避難します。
飼い主の安全を確保できる範囲でペットも連れて行きます。(同行避難)

避難形態の判断

倒壊や火災、津波等の危険性がなくなった場合には、家の被害状況を確認し、どのように避難するか判断します。

1.ペットを自宅で飼養する場合
自宅に被害がなく二次被害の危険もない場合には、「在宅避難」もあり得ます。飼い主は支援物資や情報の収集のために避難所等に取りに行くことができます。
また、飼い主は避難所に避難し、ペットを自宅で飼養することもできます。
玄関などに、動物が残されていること、保護された場合の連絡先を書いたチラシを貼っておくとよいでしょう。
飼い主は避難所から自宅に通いペットの世話を行います。

2.車の中でペットを飼養する場合
支援物資や情報は避難所に取りに行きます。飼い主も車内で生活する場合には、手足を伸ばして眠れる状態をつくり、遮光や換気、エコノミークラス症候群や熱中症対策にも注意しましょう。
冬期間の場合、車のマフラーが雪に埋まり、排ガスが逆流することがあります。一酸化炭素中毒には特に注意してください。

3.施設や知人に預ける
被災を免れたペットホテルや知人などにペットを預かってもらい、飼い主は避難所に避難する方法です。

4.指定避難所での飼養
受付:避難所に避難したら、受付でペットを連れていることを伝え、名簿を作成します。ペットの飼養場所を確認し指示に従いましょう。

動物の世話:原則、多くの避難所では、人とペットは同居できません。指定された飼養場所でルールに従い、周りの人に配慮して飼養しましょう。飼い主同士の助け合いも重要です。食料などの必要物資は、飼い主同士で融通しあうなど協力をお願いします。

札幌市の避難所

小中学校や区の体育館、町内会館などが避難所として指定されています。
ご自宅等のそばの避難所について、事前に確認しておきましょう。
詳しくは【札幌市 避難所】をご覧ください。

札幌市災害時動物救護ボランティア制度

この制度は、大規模災害時に円滑な動物救護活動を行うため、ボランティアを事前登録し、必要時に活動してもらう仕組みです。登録者は、被災した動物の世話や物資運搬などに携わります。

災害時の活動内容

1. 支援物資の運搬
2. 獣医師や動物愛護推進員の移動支援
3. 被災動物の運搬
4. 避難所での動物の世話や飼育場所の清掃
5. 飼育困難となった動物の一時預かり
6. 飼い主への適正飼育アドバイス

平時の活動

  • 犬や猫の災害対策に関する知識習得
  • 講習会などへの参加

登録要件

  • 18歳以上
  • 札幌市内または近郊在住
  • 活動内容に応じた知識や技能、または一時預かり可能な場所の確保

登録方法

  • 「新規登録申請書」に必要書類を添えて動物愛護管理センターへ提出
  • 登録証は後日郵送で交付
  • 任期は登録年度の3月31日まで(更新・再登録可)

まとめ

この制度と手帳の活用により、札幌市は飼い主とペットの安全を守るための体制を整えています。


参考:札幌市保健福祉局保健所動物愛護管理センター

 

執筆:どうみんライフ