「⼈と動物が幸せに暮らせるまち・さっぽろ」を実現する|札幌市動物愛護管理センター(あいまる さっぽろ)上森 望未

■プロフィール
名前:上森 望未
勤務先:札幌市動物愛護管理センター(あいまる さっぽろ)指導係

 

Q.現在のお仕事について教えてください。

迷⼦ややむを得ず飼い続けることができなくなった⽝や猫を保護し、新しい家族を⾒つけるお⼿伝いをしています。また、ペットのことでお困りの⽅の相談対応や、ペットを飼っている⽅に対して、ペットを飼う上での注意点について啓発をしています。
ほかにも、ペットショップなどの動物取扱業者の登録・指導や、飼い主さんが災害に備えて何を準備すべきか啓発するなど、⼈と動物が安全に暮らすための仕事も⾏っています。

Q.現在のお仕事を始めたきっかけを教えてください。

札幌市の公務員として、札幌市全体の公衆衛⽣に関わる仕事に携わりたいと思ったことがきっかけです。
市⺠の困りごとを直接聞くことができることや、札幌市全体を考える視点が必要であるところにやりがいを感じています。

Q.動物愛護管理センターについて教えてください。

札幌市動物愛護管理センター(あいまる さっぽろ)は、令和5年11⽉にオープンした札幌市の新しい施設です。このセンターは、それまで西区⼋軒にあった事務所と、北区篠路町福移にあった動物の収容施設を統合し、機能を集約した施設です。
愛称である「あいまる さっぽろ」には、「愛(あい)」と「アニマル(まる)」、「愛(あい)」と「まるっと」といった意味が込められています。

Q.札幌市動物愛護管理センター(あいまる さっぽろ)には、どのような職種のスタッフが在籍されていますか。

獣医師である衛⽣職の職員や、事務職員などが働いています。

Q.北海道内には、他にも動物愛護センター「あいにきた」がありますが、「あいにきた」との違いや連携について教えてください。

「あいにきた」は札幌市・旭川市・函館市以外の全道域を所管しているのに対し、「あいまる さっぽろ」は札幌市を所管するセンターです。また、「あいにきた」は各市町村で引き取った⽝猫を譲渡につなげるという基幹センターとしての役割を持っているのに対し、「あいまる さっぽろ」は札幌市⺠から直接⽝猫を引き取って、そのまま当センターで譲渡するという⼀連の流れが完結するのも特徴です。
「あいにきた」とはお互いのホームページで譲渡対象⽝猫情報を紹介しあったり、啓発イベントに⼀緒に参加したりして⽇ごろから連携しています。

Q.センターには何頭くらいの⽝や猫が保護されていますか。

10/1現在、⽝1頭、猫15匹が収容されています。昨年度(2024年度)、当センターでは1年間で⽝55頭、猫380匹を収容しました。昨年度は多頭飼育崩壊への対応が続き、一時に50匹以上の猫が収容されることも珍しくありませんでした。昨年度、当センターから譲渡されたのは⽝33頭、猫394匹でした。

センターが新しくなったことで、たくさんの市⺠の⽅がお越しくださるようになり、飼い主になりたいとご希望される⽅が増えて嬉しい効果が出ています。

Q.保護された動物たちは、どのようなプロセスで譲渡が⾏われるのですか。

センターに収容された⽝猫は、⼀定期間健康観察を⾏った上で、新しい飼い主の募集を始めます。譲渡を希望する⽅は、職員と⾯談を⾏っていただき、家族構成や住宅事情などの飼養環境、先住⽝猫の有無等についてお話を伺います。譲渡誓約書により適正飼養をお約束いただいてから譲渡しています。

Q.譲渡希望者に対して、選定基準やルールなどがあれば教えてください。

家族全員の同意や、ペット可の住居であること、繁殖のおそれがないこと、申請者と同居家族が全員65歳以上の場合、引受⼈がいること等、譲渡には条件があります。

Q.取り組まれている啓発活動について教えてください。

センター内の多⽬的ホールを利⽤し、犬猫のしつけやマナー、災害対策などに関する講習会・セミナーを開催しています。

また、SNSを通じて、スタッフの「推し⽝猫」を発信するなど、収容動物の紹介を⾏っています。

Q.これからペットを迎えようと考えている⽅へ伝えたいことはありますか。

当センターでは毎⽇のように「飼い主が⾼齢・病気で飼えなくなった」「経済的事情で飼えなくなった」「引っ越しで飼えなくなった」などの⽝猫の引き取りに関する相談があります。
動物を飼うということは、その命を⽣涯にわたって預かることです。ご飯をあげたり、散歩に連れていったりするだけでなく、病気になったら病院へ連れて⾏く、⾼齢になれば介護をするなど、想像以上に時間もお⾦もかかるかもしれません。家族みんなで話し合い、責任を持って最期まで愛情を注げるかどうかを真剣に考えてみてください。

Q.最後に、札幌市の動物福祉の未来について、センターとして⽬指しているビジョンや⽬標があればお聞かせください。

センターに収容される⽝猫が少しでも減り、もし不幸にしてセンターに来ることになってしまっても新しい飼い主さんがすぐに決まる、そしていずれは保護される動物がセンターからいなくなることが理想です。
そのために、センターで開催する講習会やSNSでの発信などを通じて、動物と暮らすことの素晴らしさだけでなく、⼤変さも知っていただいた上で、命を預かる愛情と責任について、市⺠の皆さまに考えていただくきっかけを作っていきたいです。
私たちのセンター「あいまる さっぽろ」が、動物たちの「新しい家族を⾒つける場所」であると同時に、市⺠の皆さまが動物について学び、命の⼤切さを感じる場所となること、市⺠が動物を命あるものとして尊重し、優しさにあふれる「⼈と動物が幸せに暮らせるまち・さっぽろ」を実現することが私たちの⽬標です。

 
公式サイト

X:@sapporo_dobutsu

 

執筆:どうみんライフ